理事長所信

(一社)那須野ヶ原青年会議所

2021年度理事長 玉木 勇介

【はじめに】

 かつてこの那須野ヶ原の地は、広大な扇状地ながら水が地下に潜ってしまうという特異な現象のため、「手にすくう水もなし」といわれた日本有数の荒野でした。長らく外部の人々が誰も見向きもしなかった不毛の大地でしたが、荒れているとはいえ広大かつ平坦な土地であり、那珂川や箒川の近くということに可能性を見出したその時々の有力者たちは、那須野ヶ原を多くの人が暮らしていける場所にしようと懸命に取り組んできました。当時の土木技術を考えれば絶望的とも思えることもありましたが、数百年にも渡って工夫や改良を重ね、時に多くの犠牲を出しながら、少しずつ思い描く理想に近づいていったのです。

 現在、全世界において新型コロナウイルスが猛威を振るっており、いまだ終息の目途は立っていません。この那須野ヶ原においても感染者が発生し、地域社会は手探りでの対応に追われています。これまで経験したことのない事態の中、私たちには、仕事や私生活はもちろん青年会議所活動についても、刻一刻と変化する社会の状況や地域の特性を的確に捉え、どう行動していくべきか、この地域のために何ができるのかを常に考えていくことが求められています。新型コロナウイルス感染への懸念が払拭できない新たな世界になるのであれば、その条件の中で感染拡大のリスクを抑え、生命や生活を守るために地域社会、経済を動かしていくという覚悟が必要になるのです。決して簡単なことではありませんし、長い期間の取り組みになってしまうかも知れません。しかし、他ならぬこの地の先人達が、幾多の苦難を乗り越え理想を実現してきたことを考えれば「無理だ」と決めつけ、この地域の資源や発展可能性から目を背けるべきではありません。大田原市、那須塩原市、那珂川町、私たちの暮らす「まち」は文化、工業、農業、福祉、観光等様々な分野において、魅力的なコンテンツを有しています。私たち一人ひとりが、困難に立ち向かう「勇気」と地域社会の可能性への「好奇心」を以って社会変革に対応し、様々なアイディアを取り入れながらまちづくりに取り組んでこそ、地域の人々が未来に希望を持って暮らしていける「明るい豊かな社会」が実現するのです。

 

【青年会議所活動・運動について】

 青年会議所の使命は地域を明るく豊かにすることであり、そのために全国各地で率先して活動・運動を展開してきました。社会が混沌とし、不安が渦巻き、価値観や生活様式の一大転換が必至である今だからこそ、私たちは自らの使命を強く認識しなければなりません。1950年に青年会議所の行動綱領として採択されたJCの三信条「修練・奉仕・友情」。そこでは「青年会議所とは若い人々が集まって自己啓発・修練を行う場」であり、為すべきことは「培われた力を用いて地域社会に奉仕することである」と示され、その過程において「会員全員、同志、さらには他団体や世界を貫く友情を培う」と説明されています。様々な社会課題を解決するため、社会に良い影響を与えるために、絶えず自己研鑚をして成長していくことが青年会議所活動の根幹であり、それは多くの難題が山積する状況である今だからこそ、より強く意識して取り組む必要があります。

 青年会議所は単年度制です。これはメンバーが資源や時間の制限という負荷の中で様々な役割を果たし、事業成果を出していく経験を蓄積していくことにつながり、加速度的な成長を促すという意味で非常に合理的な設計であると言えます。那須野ヶ原青年会議所を卒業した先輩方の多くが、自らの会社や地域団体においてリーダーシップを発揮し、地域発展のために尽力されています。どのような環境下においても、状況を的確に判断し、考え、行動し地域に貢献していける力。青年会議所はその「考動力」を養成する機能を持ってきたのです。今後も青年会議所活動・運動の中で、会員が自身の最大限の力を発揮し成長を実感できる組織、そしてこの那須野ヶ原地域の発展を牽引する人材を輩出する組織であり続けることが、私たち那須野ヶ原青年会議所の大きな存在意義なのです。

 

【会員拡大について】

 青年会議所は前述したように単年度制であり、40歳を迎える年をもって、メンバーは卒業をしてしまいます。メンバー数が増えることの確約はないのに対し、毎年減ることは決まっている。このような性質を鑑みると、組織の存続、持続的発展のためには、最大限の力を割いて会員拡大活動に取り組まなければいけないことは自明の理です。また、量が質を規定する側面は確かに存在します。単純な例えではありますが、部員数の多い部活動チームが往々にして質の高いチームであるように、多くのメンバーを統率する責任の中で活動を行うメンバーの実力は、活動の過程の中で自然と磨かれます。その各個人の成長が結集して、組織としての実力の拡充へと繋がるのです。

 会員拡大の成果は行動量に比例します。拡大活動の量を維持するためには、入会歴の浅いメンバーや新入会員においても拡大活動に貢献できる取り組み易い組織設計と、年間を通して、計画立案、実行、検証、改善を繰り返していくという運用管理を行っていく必要があります。また、入会対象である地域で働く青年世代が、どのような活動に魅力を感じるのか、何を必要と考えているのかを捉えていくことも重要です。定期的に会員拡大会議を開催し、地域社会の状況や価値観の変遷を鑑み、具体的かつ効果的な会員拡大行動を常に考え、実行していきます。

 

【まちづくりについて】

 新型コロナウイルスへの対応は否応なしに、知事や首長をはじめ、その地域のリーダーの判断や政策が、自分たちの生活に直結するということを市民に改めて体験させました。加えて、東京への一極集中の弊害が明確に示された今、地方分権の強化の流れは今後一層進んでいくことが考えられます。地域の持続的発展のためには、各地域の総合的な「自治力」が問われます。地域に対する関心や理解を深め、主体性と熱量をもって公益の観点で社会に働き掛ける市民の存在が、より良いまちづくりの核となるのです。SNS等でも政治に対する関心が高まっている状況を機会として捉え、市民の政治への関心を、理解や参画意識まで高め、行政と市民、加えて地域の企業団体とが協働して地域活動に取り組める土壌を整えていくことが必要です。

 コロナ禍だけでなく、近年頻発する異常気象とそれに伴う災害も市民の安全・安心な生活を脅かす要素です。災害対応の要諦は事前の防災・減災と早期の復旧ですが、どちらにおいても重要なのが迅速かつ正確な情報共有です。災害時のひっ迫した状況においても実効性のある、シンプルかつ強固な情報伝達ネットワークを設計、整備することは必要不可欠です。関係先や協定締結先の情報の更新はもとより、大規模な災害発生を想定した訓練を一体となって行うなど防災・減災・防疫の力を高める取り組みを実施します。

 

【青少年育成について】

 青少年育成事業は何のためにあるのか。私は「地域の未来の担い手」を育てるためだと考えています。これまで取り組んできた地域の特色や魅力を知ってもらうことも、進学や就職で一時的にこの地域を離れたとしても、「将来は故郷に戻ってきて暮らしたい」と思えるよう、青少年にこの地域で生きていく明るい未来をイメージさせるために行ってきたと理解しています。青少年が自身と那須野ヶ原の地との繋がりを体感する機会を提供することが、地域への帰属意識をより強めることに繋がり、「地域の未来の担い手」づくりの第一歩となるのです。

 少子高齢化が叫ばれて久しい現在、出生率の向上等、多子社会の実現に目を向ける考えが主流ではあります。しかし、その前に、すでにそこにある命の健全な育成に目を向けることを忘れてはいけません。生まれた環境や周囲からの悪い影響により、「地域の未来の担い手」を失ってしまうこともあるとの強い危機感を持つ必要があります。社会の中で苦しむ青少年へ一筋でも未来への光を示すことに繋がる働き掛けができるのならば、それに勝る成果はありません。「子どもは地域の未来そのもの」であるということを、私たちも含めた地域の大人が強く認識しなければなりません。

 

【情報の発信・広報、オンラインツールについて】

 効果的に情報を発信することは、青年会議所の存在と運動を市民に伝播する上で非常に重要です。誰でも簡単に情報発信ができる時代となった今、発信媒体を有効に活用することで情報は一気に拡散します。マスメディアとの関係性を築き、公の媒体による情報発信を活用し、さらに個の発信媒体であるSNSとの融合を図り、より多くの市民に情報が伝わるよう働き掛けを行います。コロナ禍の中で様々なツールの有効性、「何が、どこまで、どれくらい伝わるか」の検証が進み、市民のツールを扱う習熟度も高まっています。「できる時の配信」ではなく、最も効果的なターゲット設定、タイミング、ツール選択を考え発信していく戦略的な広報活動を展開します。

 また、理事会や委員会など対内的な活動においても、効果や目的を鑑みた上でオンラインツールを採用し、新型コロナウイルス等の感染拡大の防止や、会議の時短・省力化に取り組んでいきます。

 

【広域連携について】

 現在、この那須野ヶ原地域においても医療や消防や業界団体など、官民の領域で広域的活動が行われております。新型コロナウイルス対策においても大田原市、那須塩原市、那須町が共同声明を発し、協力して施策を推進していることも記憶に新しいところです。それらの理由としては、各市町に住む市民の多くが同じ活動圏、経済圏を形成していることが挙げられます。有限である資源や人材を最大限に活用し、政策や事業をより効果的なものにするためには、圏内地域を一体として捉えて取り組むことが合理的です。青年会議所活動・運動においても考え方を同じくする部分があり、これまでも隣接のLOMである(一社)黒磯那須青年会議所、(一社)たかはらさくら青年会議所と協力して事業を開催するなど連携を深めてきました。2021年度は会議体を組織し、LOM相互間の理解促進や地域の防災・防疫力を高めるための協働事業を実施します。

 

【会議体への出向、他LOMへの協力について】

 (公社)日本青年会議所、関東地区協議会、栃木ブロック協議会等、青年会議所メンバーには様々な出向の場があり、これらは各個人の学び、成長や可能性、人脈を広げる絶好の機会です。加えて2021年度には、(公社)宇都宮青年会議所が主管となる第70回全国大会「とちぎ・宇都宮大会」が開催されます。那須野ヶ原青年会議所においても、副主管LOMとしてとちぎの魅力を全国にPRすべく、物心両面において最大限のサポートが求められています。各会議体への積極的な出向を推進します。

 しかし一方で、出向するのであれば、出向先に貢献することに自らが責任を持ち、責務を果たすという覚悟が必要です。「返事は『はい』か『YES』か『喜んで』がJCマン」だとはよく言われますが、これらは自己管理ができている自立した個人の言葉だから説得力を伴うのであって、そこに自身の意思、展望がない中では出向先の運営に迷惑をかけることにもなりかねません。また、出向することで青年会議所活動の土台であるLOMでの活動にマイナスの影響が出てしまうのであれば、それは本末転倒です。時間管理、環境調整、そこに伴うコミュニケーション等、基本的なセルフマネージメントが必要とされていることは認識しておかなければなりません。

 

【むすびに】

 私はメンバーにとってこの那須野ヶ原青年会議所が、地域社会や家族・身近な人に、会員であることを誇れる団体であってほしいと思っています。時間は有限です。「時間を作りだすのもJCマンの仕事の一つ」とはよく言われてきましたが、実質は家族と過ごす時間、家族のために使う時間、仕事の時間を削って、その時間を充てるしかありません。家族や身近な人に負担を掛けて様々な機会に参加させてもらっている以上、活動を通して成果を出し、家族や会社、支えてくれている人に具体的な効果を、良い影響を伝播することをもって還元していく責任があります。その責任を果たすことが青年会議所活動・運動のより良い理解に繋がります。加えて、青年会議所以外の団体とも積極的に連携して、より良いまちづくりのために協働することを通し、地域社会全体からの青年会議所への信頼を高めていきます。

 激変する社会情勢の中にあっても、自らが主体性を持って考え、行動していく。その過程の中でこそ飛躍的な成長があります。そして、その成長が那須野ヶ原青年会議所の力を高め、地域の未来を拓く原動力となります。2021年の青年会議所活動・運動を通して、この那須野ヶ原の持続可能性を高め、市民に明るい展望をもたらすために、全力で「考動」していきましょう。

©2020 by 一般社団法人 那須野ヶ原青年会議所。Wix.com で作成されました。

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