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理事長所信

2024年度(一社)那須野ヶ原青年会議所

理事長 星 雅人

【はじめに】 ~那須野ヶ原の豊かさを知り、那須野ヶ原の可能性を信じた先人達~

 那須野ヶ原に暮らしてきた人達は、自然環境が生み出す豊かさを享受し、また時に那須野ヶ原の可能性に着目しその芽を育て、まちを作り、発展させてきました。那須連山と那珂川、箒川が作り出した扇状地・那須野ヶ原は、水資源に乏しく、江戸時代には「手に掬う水もなし」と言われるほどの不毛の地でしたが、南部には扇状地の下を流れる伏流水が湧き出す地域があり、湧水や河川を生活用水として利用しやすく水害を避けられる丘陵地などに、旧石器時代から人が暮らしてきました。那須野ヶ原には、古代では東山道駅路、中世では秀衡街道、近世では奥州道中、現代では国道 4 号や東北本線、東北新幹線などの主要な道路・線路が通っており、その時の国家の中央から人や物、情報が常にもたらされました。また、多くの人口を抱える大消費地、江戸・東京から近く、様々なプロダクトの生産地に適しており、農林業や工業など、時代時代において地域の産業を発展させてきました。明治の那須疏水の開削を起点として、今では那須野ヶ原全域に、豊かな田畑とまちが広がっています。

 那須野ヶ原青年会議所の先輩方もまた、この那須野ヶ原で愛する人達とともに暮らす一人の青年として、地域の可能性の芽を育て、発展の為に尽くしてきてくださいました。我々青年会議所の現役メンバーは、この地に暮らしてきた先人に習い、また、51 年間に渡り繋がってきた先輩方の思いを受け継ぎ、新たな那須野ヶ原の可能性の芽を育て、次の時代へと繋いでいく使命があります。

 今、世界は激動の時代にあります。IoT や生成 AI による第 4 次産業革命が大きく世界の産業の構造を変えてようとしており、人類が引き起こしている気候変動による異常気象が、世界の各地で猛威を振るっています。この数年間、私達が苦しめられてきたコロナウイルス感染症にみるようなパンデミックはこれからも度々起きてくるだろうことが予想されており、そして日本は長く続く経済の低迷からの脱却に苦闘しており、少子高齢化・人口減少による労働力や社会保障の担い手の不足に世界の国々に先んじて直面している課題先進国でもあります。これらの全てが解決の難しい難題であり、変化は急激であり、メディアを通してそれらの話題を耳にするたび、私達の未来は暗いものであるかのように感じさせられます。しかし、変化の多い時代は、チャンスにも恵まれた時代です。那須野ヶ原の可能性を切り開いてきた先人に習い、変化を恐れず、可能性にこそ目を向け、暗闇の中に希望の光を見いだしていくべきです。

 50 周年を迎えた 2022 年度に、私達の世代の感性に基づき、地域の方々と共に「那須野ヶ原地域ビジョン」を策定しました。「人がつながり 未来を拓くまち ~自然と調和する持続可能な那須野ヶ原~」が、私達の世代が目指す明るい豊かな社会への道しるべとなります。私達は常に青年会議所の理念を意識し、那須野ヶ原地域ビジョンに基づき、時代の変化をしっかりと受け止めながら、希望をもって次の一歩を力強く踏み出します。

【よく地域を知り、持続可能なまちへの一歩を踏み出す】

 持続可能なまちに向かって次の一歩を踏み出すためには、まず地域をよく知ることが必要です。そのためには、大きく 2 つの方法があります。1 つは、そこに暮らしてきた人達の歴史を紐解くことです。なぜ先人はこの地に住むことを選んだのか、この地でどのような暮らしを営んできたのかを知ることは、地域の豊かさと地域資源を知ることであり、地域が持つ可能性について学ぶことでもあります。

 もう 1 つの方法は、データを参照することです。統計資料や各種調査の中にはたくさんの可能性の芽が眠っており、それらを紐解くことで、私達は、新しい地域の姿を垣間見ることができます。新たな発想の元になるのは、小さな気づきです。私達が多くのアイデアを生み出せるように、また、そのアイデアが多くの人の心を動かす物語として実行されるように、歴史とデータから、地域の可能性を見いだす力を育む事業を行います。

【こどもまんなか社会のために】

 地域に暮らすこどもたちも「可能性の芽」です。こどもたちを取り巻く環境は、複雑さをまし、こどもの貧困、虐待、いじめ、自殺、不登校など、解決すべき多くの課題があります。2023年 4 月、こども家庭庁が発足しました。常にこどもの視点に立ち、こどもの最善の利益を第一に考える「こどもまんなか社会」の実現に向けて、国も動き出しています。こども・若者と社会を繋ぐ世代である地域の青年として、こどもまんなか社会に向けてやれることはたくさんあります。課題一つ一つに目を向けことももちろん大切ですが、私達人間とはいったいどんな存在なのか、という大きい視点に立ち返り、何が私達を形作ってきたのか、こどもたちには一体何が必要で、大人はこどもに何を与えるべきなのかを考え続けてきました。その問いに対する、私なりの答えの一つが「熱中」です。多くの可能性の中から、心動かされる何かを手に取ると、「こうなったら面白いのではないか」という遊び心が立ち上がります。そこから、ああでもない、こうでもないと、振り回したり投げたりしてみる、いじくったり舐めたりしてみる、そういったトライ&エラーを繰り返す中に「熱中」が生まれます。その熱中の中でこどもたちは生きることの充実を実感するのです。自分が「こうしたい」という気持ちが育った後には、同じ想いを共有してくれる仲間を増やしたり、他の「こうしたい」をもった他者との間で様々な調整をしたりすることも必要になってきます。熱中の生まれる遊びから始まり、社会の仕組みを学ぶことができる青少年育成事業を行います。

 また、地域のこどもや未来を考えるときに、避けては通れないのが教育です。次の時代の担い手となってもらうため、こどもにどんな教育を与えるべきか、ということは、常に社会の大きな課題となってきました。変化が早く、未来の予測がかつて無いほど難しくなっている時代に一つ確実に言えるのは、大人や国家は、学びの責任を取れないということ、故に、これからの学びの主人公はこども自身であるということです。こどもたちは自分の興味関心・必要性に応じて新たな知識や技能を身につけ、活用していく力が必要になります。こども中心の学びのあり方を多くのステークホルダーと学び共に考える事業を行い、これからの地域の教育環境をアップデートしていきます。

 

【青年会議所メンバーの可能性を引き出す】

 私達、青年会議所のメンバーもまた「可能性の芽」です。青年会議所現役メンバーやOBOGの皆様は、地域の様々な場所でそのリーダーシップを発揮し、地域発展のため活躍しています。JCI Mission にもあるように、青年会議所はリーダーシップの開発と成長の機会を提供することを使命としており、活動のあらゆる場面においてリーダーシップの開発と成長の機会が提供されています。その機会を逃さず、その効果を最大化していくために、リーダーシップについて学び、リーダーシップの開発と成長に資する事業を行います。

 また、日本青年会議所及び関東地区・栃木ブロック協議会は、LOM の活動を後方援護するために多くのプログラムや支援を準備してくれています。情報をしっかりと捉え、共有することで、それらを十二分に活かし、LOM の活動をよりよいものにしていきます。

 

【これからも地域に良い影響を与え、地域を牽引していく青年会議所であり続けるために】

 青年会議所にとって、一人の会員の入会は、とても大きな価値を持つものです。会員の持つアイデアや発想、価値観やつながりから他の会員も学び成長し、切磋琢磨することで良い事業を作り出すことができます。

 また、仮によい事業や活動を行っていても、求めている人に届いていなければ意味がありません。一つひとつの事業を求めている人に確実に届け、成果を知らせ、青年会議所活動の影響力を最大化していきます。若い世代の声を集め、社会に届け、形にしていくことができるのが、青年が企画者かつ実動部隊となれる青年会議所の強みです。会員数の増は目的ではなく、私達の活動の結果です。私達が、地域により良い影響を与える活動を行い、求めている人に届けることができれば、また新しいメンバーが仲間の輪に加わってくれます。事業の広報や告知をしっかりと行い、共感をしてくれる人を増やし、新たな仲間達を迎えることで、これからも地域に良い影響を与え、地域を牽引していく青年会議所でありつづけます。新たな会員、OBOG、家族、社員、私達の活動を直接的に・間接的に支援してくださる多くの人達とのつながりに感謝を持ち、新たな出会いから元気をもらうことで LOM がどんどんパワーアップしていくような拡充活動を行っていきましょう。

 

【最後に】

若者の強さは、多くのことに好奇心を持ち、新たな価値に気づき、行動を起こせることです。私達は、全てのことから学ぶことができます。地域をよく知り、シンプルに考え、若者らしい自由な発想で、数多くのアイデアを共に紡ぎましょう。そのアイデアが実現した時の光景を想像すると、ワクワクし心が躍る、そんな一手が見えたならば、恐れることなく、大胆に行動しましょう。私達の挑戦は小石の一投かもしれませんが、その挑戦は誰かの心を動かし、小さな波紋は次第に地域に広がり、那須野ヶ原の未来を、そして社会を大きく変えていくことでしょう。

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