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理事長所信

2026年度(一社)那須野ヶ原青年会議所

理事長 越沼 良

【始めに】
1973年に大田原青年会議所として設立され、広域活動を行うための名称変更や法人格の取 得を経て、現在は一般社団法人那須野ヶ原青年会議所として、大田原市・那須塩原市・那珂川 町の2市1町を活動エリアに「明るい豊かな社会の実現」を掲げて運動を展開してきました。

時代の変化は加速し、人口減少や少子高齢化、経済格差、情報の分断といった多様な課題が 地域社会を取り巻いています。地域の持続可能性が問われる中、私たちは今一度、地域のある べき姿とは何かを問い直し、その未来に責任を持つ立場として行動していかなければなりませ ん。こうした時代において、私が確信しているのは「まちづくりは人づくりである」という真 理です。

人の力には本質的な差はなく、どのような環境に身を置き、どれほどの経験を重ねてきたか によって、その力が発揮されます。地域の未来を支えるのは、制度や資金だけではなく、そこ に生きる一人ひとりの人間力に他なりません。だからこそ、私たちは挑戦の機会をつくり、主 体性を引き出す場として青年会議所の存在意義を高めていかねばなりません。

2026 年度は、多角的な視野を持ち、柔軟な思考力を育むことで、課題に向き合える人財の 育成を重視します。私たちは、これまでの経験を活かしながら、より実効性と持続性のある運 動を構築するため、地域に自ら関わろうとする人を増やしていきたいと考えています。私たち 自身が変化を恐れず進化し続ける姿勢を持ち、地域社会と真摯に向き合ってまいります。

【青年会議所だからできるまちづくり】
青年会議所の最大の特徴は、業界や利害を超えて横断的に地域へ関われる点にあります。特 定の立場にとらわれず、幅広い世代・層とつながりながら、対話と協働を通じた運動を展開で きます。企業や行政、地域住民、NPO、教育機関など、多様なステークホルダーと垣根なく 連携できるからこそ、しなやかで広がりのあるまちづくりが実現できるのです。また、事業ご とに市民の声を拾い上げ、対話や交流の機会を設けることで、共感を起点としたまちづくりを 可能にしており、地域に根差した青年経済人が集まる団体として、私たちはビジネスや生活の 最前線から地域の課題を捉え、現場感覚に基づいた実践的な提言や取り組みを行うことができ ます。

2022年に地域のステークホルダーと共に策定した那須野ヶ原地域ビジョンは、2030年の達 成を目指した中長期的構想であり、2026年はその折り返しの年にあたります。本年度は、こ れまでの取り組みを振り返りつつ、最終的な検証方法を策定時の関係者と共有することで、将 来の成果検証に備える基盤を築きます。しかし、私たちの主眼は単なる検証にとどまるもので はありません。むしろこの過程を通じて、市民一人ひとりが交流を通じて地域の可能性に触れ、 まちづくりに関心を持つ仲間を増やしていくことにあります。 そして、交流の機会は一度き りの出会いで終わるのではなく、その後の関心や行動へとつながる契機となります。たとえば、 私たちの例会などの事業だけでなく他団体主催の事業での偶発的な対話、世代を超えた意見交 換など、小さな接点が積み重なることで「地域を自分ごととする意識」が育まれます。青年会 議所は、そのきっかけを創出する触媒として存在し、多様な人々の交流人口を増やし続けてい きます。この交流の連鎖こそが、地域社会を持続可能にする力です。私はこうした青年会議所 の運動を通じて、一人でも多くの市民が「地域を良くする一員」としての自覚を持ち、自らの 意思で行動を起こすきっかけをつくりたいと考えています。まちづくりは特定の誰かに委ねら れるものではなく、私たち一人ひとりの関心と行動によって形づくられるのです。

そのため2026年度は、地域の理想や課題を共に考える過程を通じて、まちづくりに関心を 持つ人々を一人でも多く生み出すことを目指します。

【青少年育成とその環境の在り方】
インターネットやSNSが日常生活に溶け込み、誰もが瞬時に情報にアクセスできる現代、子 どもたちは過去にないほど多くの情報に囲まれて育っています。しかしその一方で、情報は本 人の関心や過去の閲覧傾向に基づき最適化されるため、異なる価値観や多様な視点に触れる機 会が失われつつあります。自分と異なる考えに触れることを避けがちな環境は、偏った視野や 判断力の未熟さにつながりかねません。さらに近年は生成AIの発展により、瞬時に答えを得ら れる利便性の一方で、自ら考え判断する姿勢を手放してしまう危険も懸念されます。AIは人が 使う道具であって、人が使われる側になってはならない。その視点を大人自身が持ち、子ども たちに伝えていく必要があります。そこで重要になるのが、保護者自身の学び直しです。ネッ トリテラシーを備えた環境を整えることは、子どもたちの健全な成長を支えるうえで不可欠で す。特に家庭内でのスマートフォンやインターネットの利用ルール、SNSとの関わり方などに 対して、保護者が正しい知識と姿勢を持つことが求められます。保護者が自らの情報リテラシ ーを高め、子どもたちと率直に対話を重ねながら見守ることで、次世代の情報活用能力を育む 土台が築かれていきます。保護者の役割は、単にルールを教えることではなく、子どもたちが より良い選択をできるよう導くことにあります。とりわけ今の時代には、情報の取捨選択以上 に、例えば他者との意見が対立したときに自分の考えを貫くのか、相手に歩み寄るのかといっ た「正解のない問い」に向き合う姿勢が求められています。

一方で、テクノロジーとは異なる「人と人とのふれあい」や「地域に根ざした体験」も、青 少年の成長には不可欠です。自然の中で遊ぶ体験、地元の祭りに参加する喜び、地域の大人に 褒められる経験など、それらの積み重ねが「この地域で育ってよかった」という誇りや帰属意 識の確かな拠り所となり、やがて「この魅力を次の世代に伝えたい」という思いへとつながり ます。その誇りは、単に懐かしい思い出として残るのではなく、人生の節目や困難に直面した ときに「自分はこの地域に育ててもらった」という心の支えとなります。郷土の風景や祭りの 音色、地元の食文化や人の温かさは、離れて暮らしていても心を結びつけ、挑戦する勇気を後 押ししてくれます。そして仲間や家族と共有する郷土への誇りは、世代を超えて伝えたくなる 思いを育みます。学校や家庭だけではなく、地域のあらゆる場が学びと育ちの場となることが 求められています。青少年期の体験は人格の根幹を形づくるものであり、その環境づくりには 地域ぐるみの関与が必要です。青年会議所もまた、その一端を担う存在として、青少年の健や かな成長と郷土を誇りに未来を切り拓く意志と誇りを培う責任を果たします。そして、地域の 子どもたちが郷土を誇りに思い、将来どこで暮らしても故郷と関わり続けたいと願えるように、 郷土愛を育むことを最大の目的として取り組んでまいります。

【組織づくりと人財育成】
現代の社会では、多様な価値観が交錯し、時には意見が衝突する一方で、声を上げられずに 飲み込んでしまう場面も少なくありません。その中で求められるのは、相手の立場を尊重しな がらも、自分の考えや意思を具体的な言葉で誠実かつ率直に伝え合える関係性です。例えば会 議や事業の場面で、意見が異なっても相手の背景を理解しつつ、自らの考えを整理して分かり やすく伝える姿勢が重要になります。私たちは、そうした実践的な対話の在り方を土台とし、 信頼に基づいた協働を実現していくための学びの場を提供してまいります。対話は単なる情報 のやりとりだけではありません。自分の内面と向き合い、感情を整理し、相手に届く言葉へと 置き換える習慣。それをもって他者に耳を傾け、違いを受け入れ、必要なときには前向きな変 化を促す。その過程こそが、これからのリーダーに必要な自己を深く見つめ、他者を支える関 わり方を磨いていく営みであると、私は考えています。

青年会議所は、これまでの組織活動の中で、単年度制という特性のもと、役割と責任を持っ て行動することの意味を実践し学んできました。事業や役職の経験は、計画立案や意思決定、 メンバーとの連携といった具体的な活動を通して培われます。その経験は、メンバー一人ひと りにとって、自己を客観的に見つめ直す機会であり、自らの限界や弱さに向き合いながら仲間 の成長に責任を持つという、組織におけるリーダーの本質を体得する場でもあります。

リーダーとは、先頭を走るだけでなく、ときに立ち止まり、仲間を見守り、背中を押し、耳 を傾ける存在です。多様な個性が集まる組織においては、すべてを一人で抱えるのではなく、 信頼と対話を通じて協働を生み出す姿勢が求められます。私は、こうしたリーダーシップを、 内省と実践の両輪で育んでいく必要があると考えています。「聴く」と「伝える」の質を見つ め直し、自身の経験を振り返りながら、相手を尊重して率直に思いを伝える態度と、自らを省 みて冷静に選択・決断する判断力をあわせて磨き、相手の成長に伴走しながら、自らも磨かれ、 地域の未来を担う人財を育てます。

【青年会議所という会議体運営】
青年会議所における会議体は、組織全体の方向性を確認する大きな場から、意思決定を行う 中枢の場、事業を推進する実務的な場まで多層的に存在します。それぞれの場が果たす役割を 明確にし、事前の共有や建設的な議論を徹底することで、意思決定の精度とスピードを高め、 組織全体の活性化へとつなげてまいります。設営や発言の姿勢一つとっても、次世代のリーダ ーを育てるうえで重要な実践の場であり、組織文化を形づくる場でもあります。

単年度制のサイクルを活かし、役割を担う中で得られる経験を成長につなげることは、青年 会議所の醍醐味です。報連相の徹底や議論の質の向上を通して、意思決定のスピードと精度を 高め、組織全体の活性化を図ってまいります。

この会議体運営を通じて、メンバーには「本質を見極める力」と「言語化する力」を身につ けていただきたいと考えています。それが将来にわたって活きる普遍的な力となり、青年会議 所での経験が人生の財産になることを願っています。会議とは単なる通過点ではなく、対話か ら共感を育み、共感から行動を生む場です。だからこそ、会議体の充実は運動の質を左右する と言っても過言ではありません。


【むすびに】
地域の未来を築くのは、他の誰でもない私たち自身です。変化を恐れず挑戦し続け、目の前 の課題にも誠実に向き合いながら、確かな歩みを重ねてまいりましょう。

自らを律し、学びを積み重ね、互いに高め合う関係性を築きながら、まちづくりを担う仲間 とともに、よりよき那須野ヶ原の未来を描いていく一年といたします。その歩みの中で、私た ちは未来の可能性を信じ、一歩一歩確かな実践を積み重ねていきます。すべての出会いと挑戦 を糧に、次代へと希望を紡いでまいります。さらに新たな仲間を迎え入れ、他団体や出向先で 得た学びを地域へ還元しながら、その歩みをより力強いものとしてまいります。

この一年が、私たち自身の可能性を広げ、そして地域全体の可能性を切り拓く転機となるよ う、誠実に、情熱をもって歩んでまいります。
 

©2022 by 一般社団法人 那須野ヶ原青年会議所。Wix.com で作成されました。

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